多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ご飯とおかず、周作人

 銭塘江を隔てた杭州では、毎朝汁かけご飯

を食べるが、紹興の民衆はこの習慣を見下している。紹興の民衆は一日三回ご飯を煮て食べるからだ。余った冷たいご飯も汁かけにはせず、米と一緒に煮る。三度ご飯を煮るから、おかずを作るにも特別なやり方を使う。蒸すのを重視するのである。蒸籠で蒸すのとは異なり、ご飯鍋の中に棚のようなものを作ってそこに野菜類を置く。生米を煮るのと同時に、野菜類を蒸すわけだ。

 普段のおかずとしては、干し野菜、漬物、ヒユナの茎の塩漬

が最も簡単かつ重要で、その次が赤黴豆腐


と臭黴豆腐だ。ここで言う干し野菜は干しハクサイ

で、他地方では黴干し野菜とも言うが、実際は黴はない。ハクサイを丸ごと天日干しにして、食べるときにご飯の上で蒸し、一葉ごとに引き裂いて、噛んで食べる。民衆は往々にして立って碗を持ち、食べるが、碗の上を黒っぽい干しハクサイが覆っている。他に干しカラシナもある。

細かく切り刻んでから再度漬け、新しいものを備瓮菜、天日干しにしたものを倒督菜と呼ぶ。ハクサイの漬物もある。

普通は数センチの長さに切り、蒸して食べる。甕一つで一年間食べられる。細かく切ったものにごま油をかけると、粥のよきおかずになる。新しいものは黄金色、歳を越して夏を過ぎると、黒っぽくなる。臭漬物と呼ばれるが、独自の味だ。が、他地方の人はその良さがわからないだろう。たとえ「臭豆腐」

の味がわかったとしても。

 ヒユナについては「越諺」の「飲食部」に「茎はサトウキビのようで、数センチに切って塩漬けにする。臭い匂いだが、味はよく、ご飯が進む」と書いてある。私もかつて書いた。

 「ヒユナの茎の塩漬の作り方。人の身長ほどの高さのヒユナの茎が肉付きの良くなった頃、葉を取り去って、茎のみを数センチに切り分ける。甕の中で塩漬けにし、発酵が完成したら食べる。生で食べても加熱しても美味しい。民間ではほとんどの家で作っている。食事の時の必需品で、干し野菜とともに日常の副食だ。漬け汁

に豆腐干を


浸してもいいし、蒸し豆腐を作ってもいい。苦みと渋みが少しあり、山野の趣きがある」

……

(1951.9)

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