多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

2020年11月のブログ記事

  • 山東青州のイスラム菓子(中国のネット)

    中国には回族というイスラム教を信じる少数民族がいます。その人たちの菓子です。          1.団糕  もち米かキビの粉を水と混ぜて塊にし、上にナツメをのせ、鍋でじっくり蒸す。熱いうちに食べる。長期保存できる。 2.刀切糕 白と黄色がある。白はもち米の粉、黄色はキビの粉を使う。包丁で断面を切る... 続きをみる

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  • 漢方医の説く節食、節酒(万全)

    明時代の漢方医万全(1499-1582)という人が、「養生四要」という書物の中に書いています。この人もずいぶん長生きしています。 <節食節酒のすすめ>  孔子は養生に注意しており、肉は多く食べても、五穀の気を損なってはならず、「清淡」を大切にしなければならないと言っていた。礼節のためには酒を飲みす... 続きをみる

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  • 古人の勧める老いの食養生、曹庭棟

    曹庭棟(1700-1785)という清時代の文人が「老老恒言」という書物に書いています。人生五十年の時代に八十五歳まで生きています。ずいぶん長生きですね。 <老いの食養生>  「本草」に「老人用のご飯は古い米を炊くのがいい。収穫したばかりの新米を老人が食べると、気が動いて病気になるからだ」と書いてあ... 続きをみる

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  • 健康な一日の過ごし方、高濂(中国、明時代)

    最近嫌な病気がはやっているようなので、明時代の「遵生八箋」という養生書から健康法をご紹介します。試してみられたらどうでしょうか。 <一日三食、養生の道> 1.起床  朝は鶏の鳴き声で目覚めるのがいい。目覚めてから一回か二回息を吐き、夜間にたまった毒素を放出するのである。その後両手をこすり合わせて暖... 続きをみる

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  • 満漢の菓子、梁実秋

     北平の菓子屋の看板には「満漢の菓子」と書いてある。中に入るときれいで、いい香りが鼻を打つ。  満漢の菓子というが、何が満で何が漢なのか、今となってははっきりしない。名称を見ると、サチマ は満族の菓子だろう。かつて満族の貴族だった人に聞いたのだが、サチマは満族の言葉で「とても甘い」という意味だそう... 続きをみる

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  • 老舎、盲腸手術の体験

    老舎が盲腸の手術をしてもらった時のことを書いています。医者が盲腸を見つけるのに時間がかかったそうで、ユーモアを交えて書いています。皆さんのブログを拝見していると、手術を受ける方もおられるようです。ご参考になれば幸いです。    盲腸切除の記  老舎  六月の初めに北碚に来て、趙清閣さんと一緒に「桃... 続きをみる

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  • 老舎、小病(病気との付き合い方)

    - 最近病気に関するニュースが多いですが、老舎(1899-1966)という中国の代表的な文豪が、病気との付き合いについて色々書いています。彼は67歳で亡くなっていますが、病死ではありません。文化大革命の際に迫害され、自殺しました。   小病 老舎  大病は死に近いので、考えただけで寒気がする。なら... 続きをみる

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  • 随園食単、調味料について知っておかなければならないこと、袁枚

    コックの用いる調味料は、女性が着たりつけたりする服やアクセサリーに似ている。花のごとく美しく、化粧の上手な女性であっても、ぼろぼろぼ服を着ていたら、西施のような美人であったとしても美しく見えない。料理に精通する者は、酷暑の時期に製造したみそや醤油を用いる。 それも最初に甘美であるかどうか自分で確か... 続きをみる

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  • 芙蓉鶏片、梁実秋

     芙蓉鶏片は北平東興楼の得意料理だ。東興楼は東華門大街路の北にあった。平屋建てだが、構えが特に高い。それにはわけがある。当初は二階建てにする予定で木材を買い揃えたのだが、皇帝のいる場所の近くに二階建てを建てると宮中をのぞいていると疑われ、処罰されるかもしれないと言われ、平屋にした。その分構えが高く... 続きをみる

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  • 随園食単、料理の際に最初に知っておかなければならないこと、袁枚

    清時代の袁枚(1716-1798)という人が「随園食単」という料理書に書いています。 この世のすべてのものには先天的な特質がある。…食品そのものの本性が下劣であれば、易牙(春秋時代の著名なコック)のような名コックが調理をしても、いい味は出せない。  まとめて言えば、豚肉は皮の薄いものがよく、生臭い... 続きをみる

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  • 如意豆腐の作り方、好豆

    材料:豆腐三百グラム、エノキ百二十グラム、油適量、塩適量、ニンジン百グラム、小麦粉五十グラム、オイスターソース十グラム、薄口醤油十ミリリットル、コショウ粉二グラム、白砂糖五グラム。 作り方:1.食材を揃える 2.豆腐を塩水に十五分浸す 3.エノキとニンジンを千切りにする。 4.豆腐を小麦粉でくるみ... 続きをみる

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  • 溜黄菜,梁実秋

     黄菜とは鶏卵のことだ。北平の習慣でそう呼んでいる。北方のレストランでサービスでよく出す。天津のレストランでは客が四つか五つ料理を注文したら、三つくらいサービスを出す。やや常軌を逸しており、貴重なものではなくても客は不安になる。  溜黄菜は豚油を用いて作る。卵黄を糊状にしてクワイを小さく切ったもの... 続きをみる

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  • 白居易、老いの悟り

    老いと病の中、彼は何かを悟ったのでしょうか。そういう詩です。    老病相よる、詩をもって自ら解く  この世の栄枯と喜憂と長命短命  それらは芝居の一場面のようなものだ  微細なものに転生しようとも怪しまず  皮膚がしわだらけになり髪の毛が白くなっても心を痛めない  以前中風という不治の病になって... 続きをみる

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  • 中華風卵スイーツ「三不粘」

     誰がいつ「三不粘」を作り始めたのかはわからない。清の乾隆帝が南方を巡幸したとき、彰徳というところの知事が献上した料理に「三不粘」が入っていた。乾隆帝はそれを食べて大いに喜び、その作り方を記録させた。それ以降、「三不粘」は皇宮に伝わり、宮廷の有名料理になった。  「三不粘」は卵黄とでんぷん、白砂糖... 続きをみる

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  • 漢方医のすすめる風邪予防スープ、張常然

    1.トマトと豚レバーのスープ 材料:豚レバー二百五十グラム、キノコ四十グラム、鶏卵一個、トマト百五十グラム、黄酒、ネギ、ショウガ、コショウ粉、塩。 作り方:豚レバーを切って洗い、サイコロ状に切り分けた後、酒、ショウガ、卵白、塩、コショウ粉と混ぜ合わせて液体にする。それを強火で十分か十五分蒸してペー... 続きをみる

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  • 爆双脆,梁実秋

     爆双脆(爆は強火で炒めること)は、北方山東料理レストランの名物だ。が、台湾の北方料理のレストランでは出さない。誰かが事情を知らずに入り爆双脆を注文したとする。そのレストランが無理に作ったとする。出てきた料理は真っ黒でちっぽけ、全然美味しくないだろう。北平の東興楼あるいは致美斎では、爆双脆は料理人... 続きをみる

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  • 冬におすすめ、漢方薬膳、張美玉

    立冬が過ぎ、だんだん寒くなってきた。冬季は人の五臓の中で腎を特に大切にしなくてはならない。同時に脾と胃を整え、元気を生じさせるのである。また、「黄帝内経」に「冬に陽を傷つけると、春に必ず温を病む」とあるので、普段の生活の中でも陽の気を守るべく、服や布団を増やし、温を補うものを食べなければならない。... 続きをみる

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  • 瓦塊魚、梁実秋

     北平では黄河のコイは味わえないが、河南料理レストランの魚料理にも独特なものがある。厚徳福の瓦魚塊は傑作だ。黄色く揚げた魚の肉が瓦のように少し湾曲しているので、その名がついた。粘っこくて透明な甘酢の汁をかけ、ショウガの粉を散らす。形と色を見ただけで、よだれが出る。  厚福徳の主の陳さんに秘訣を聞い... 続きをみる

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  • 眼科医バラモン僧に贈る、劉禹錫(772-842)

      秋ごろから目の具合が悪くなり、一日中涙が流れて苦しい   両目ともはっきり見えなくなり、まだ中年なのにまるで老人になったようだ   赤いものを見れば緑に見え、日光にも風にも耐えられない   眼科医でもあるバラモン僧が手術のやり方を知っているという   眼病の苦しみを治してくれるかもしれない  ... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、酔シイタケ

     シイタケをきれいに洗って水に浸した後、油でじっくり炒める。シイタケを浸しておいた水をかすを濾過して、シイタケを炒めた鍋に注ぎ込み、煮込む。煮つまったら、シイタケを鍋から取り出す。しばらく置いてさました後、冷たい濃い茶で油分を洗い流し、その後水分を切る。良質の酒醸と醤油を混ぜたものにそのシイタケを... 続きをみる

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  • 杜甫、老いの境地

    唐時代の大詩人杜甫は58歳で死んでいますが、晩年は糖尿病など様々な病気を患っていたようです。耳も悪くなっていました。   耳聾  私は深山に隠居し、俗世を嘆く老人だ  目はいつ見えなくなるかわからず、耳は先月から聞こえなくなった  耳が聞こえていたら、猿の悲しげな泣き声を聞いて秋の涙を流し、雀が寂... 続きをみる

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  • 白居易、老いの境地

    唐時代の大詩人白居易は、68歳の冬の朝中風になり左足が不自由になりました。目も耳も具合が悪くなっていたようで、老いと病の境地を詩に詠んでいます。   老病幽独、たまたま所懐を吟ず  目がだんだん見えなくなり、耳も徐々に遠くなってきた  頭は白髪がいっぱいで、半身は中風だ  心はすでに浮雲の上だが ... 続きをみる

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  • 美容と美白にいいクコ入り豆乳、美食傑

    漢方医学によれば、クコは肝と腎によく、目を健康にし、免疫量を高める。疲労を癒して血圧を下げる。また、美容によく、肌を白くする。クコはカロチン、セレン、ビタミン、フラボンを豊富に含む。長期間摂取すれば、これらの成分が体内に吸収され、酸化を抑え 体内の余分な活性酸素を取り除き、体を若くする。 材料:ダ... 続きをみる

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  • 体を暖めるショウガ茶、美食天下

    寒い季節がやってきた。この茶を飲もう。赤砂糖は血を養い、血を活かす。ナツメは温の性で、気を益し、血を養って心を落ち着ける。ショウガは温の性で、寒を散らす。三つが合わされば、ショウガの働きがより活性化し、血液循環を促進する。手足の冷えによく効く。 材料:赤砂糖十五グラム、ナツメ十グラム、ショウガ十五... 続きをみる

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  • 金華火腿(中華ハム)の食べ方、吃乎厦门

    浙江の金華火腿はスペインのイベリアハム、イタリアのパルマハムと共に世界三大ハムに名を連ねている。  一般的に金華火腿は、火爪、火踵、上方、中方、滴油に分かれ、異なった部分は異なったやり方で調理する。 火爪:骨が大部分を占め、筋と皮が多い。スープをとるのに使う。 火踵:塩分と油分が少なく、濃厚な味だ... 続きをみる

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  • ヤマイモと鶏肉の粥(香哈ネット)

    ヤマイモは肺を補う。鶏肉は免疫力を強めて目をよくし、皮膚と粘膜の健康を維持する。 材料:ヤマイモ適量、コメ百四十グラム、鶏肉適量、塩適量、ショウガ四切れ 作り方:1.材料を揃える。 2.ヤマイモの皮を剥いて塊に切り分け、水に浸しておく。 3.鶏肉をショウガの千切りと塩で二十分漬ける。 4.コメを洗... 続きをみる

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  • 網膜剥離の経験、宗璞

    宗璞さんは、白内障の手術から一年くらいたってから網膜剥離になりました。いろいろな治療を試したけど活字が読めなくなったそうです。

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  • 白内障の経験、宗璞

    宗璞という1928年生まれの中国の女性作家が七十歳くらいの時に白内障の手術をした時のことを書いています。はっきり見えるようになった目で鏡を見たら、自分がしわだらけのおばあさんになっていたのでびっくりしたそうです。

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  • 体を暖めるクルミとヤマイモの飲み物、美食天下

    ・クルミの香りにヤマイモの細やかな味わいが混じり、寒い季節に暖めて飲むと、心身ともにおだやかになる。 ・ヤマイモは脾を健やかにして胃を益し、消化を助け、腎をよくして血糖を下げる。クルミは脳を健やかにして智を益し、容貌を美しくして白髪を防ぐ。 ・ヤマイモはヒゲの多いものがいい。口当たりがよくて甘みが... 続きをみる

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  • 北京の伝統菓子、エンドウマメようかん(美食傑)

     北京の伝統菓子エンドウマメようかんは、淡い黄色で細やか、口に入れるとすぐとろける。外で食べるものはコスト削減のため寒天などの凝固剤を使っていることが多いが、自分で作る場合はエンドウマメと白砂糖だけを使う。口に入れるとエンドウマメの清らかな香りとほのかな甘みが広がり、とても美味しい。作り方は簡単な... 続きをみる

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  • 眼病の詩

    「長恨歌」で有名な唐の詩人白居易は老年性白内障を患っていたそうです。同じ病に苦しんでおられる方の参考になれば幸いです。

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  • 糖尿病を患った中国歴史上の人物

    みなさんのブログを拝見していると、糖尿病の方もかなりおられるようです。中国古代において糖尿病を患った人たちについて書いてありますので、ご参考になれば幸いです。

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  • 自らの死に方について考える

    最近、「延命」治療で何年間も苦しみながら無理やり生かされている人が増えており、人の死に方はどうあるべきかについて色々な議論がなされています。魯迅という中国の作家は五十代で死んでいますが、ずっと家にいて奥さんが看護していました。相当苦しんだようですが、死の直前まで自分でトイレに行き、看護する奥さんの... 続きをみる

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  • 体にいいクコの茶、99中医

     クコ茶は女性に適している。様々な材料と組み合わせれば、様々な効果が出る。  クコを湯で淹れて飲むのは簡単で、よく使われるやり方だ。クコには陰を養って血を補い、肝と腎を健やかにし目をよくする効能がある。クコは性は平で味は甘だ。粥に入れてもいいし、毎日数粒食べるのもいいが、向いていない人もいる。  ... 続きをみる

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  • 金華火腿(中華ハム)とニワトリの煮込み、美食傑

    冬はニワトリスープを多めに飲むのがいい。金華火腿は、ニワトリスープに最も合う。シイタケとナツメ、クコを加えると栄養も豊かになり、美味しくなる。濃くて香りのいいスープを飲めば冬も怖くない。 1.食材を準備し、シイタケをぬるま湯に浸す。 2.金華火腿を薄切りにする。 3.シイタケのかさに十字の切れ目を... 続きをみる

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  • 柿子餅(香哈ネット)

    中華風の柿の菓子の作り方です。 柿は熱を清めて毒を解く。 材料:柿、小麦粉、油、アズキ餡 作り方:1.柿を洗って皮をむき、容器に入れて潰し、ペースト状にする。ミキサーを使ってもいい。 2.小麦粉を柿ペーストに混ぜて、適度な軟らかさになるまで均等に撹拌し続ける。軟らかめの方が口当たりがい 3.十五分... 続きをみる

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  • 粥の王様「臘八粥」の作り方(美食傑)

    中国北方の多くの地方の伝統的考えでは、旧正月(春節)を祝う儀式と活動の準備は臘月(旧暦十二月)八日に正式に始まる。  この日に臘八粥を食べるのである。ひと碗の粥の中に八種類の食物が混じり、一年の収穫を凝縮しているだけではなく、富と満足を象徴してもいる。そして今日、この内容豊かな粥は栄養が十分で満腹... 続きをみる

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  • 鉄鍋卵、梁実秋

     北平の前門外に狭くて小さな路地がある。入ってもすぐ行き止まりで、軍服店があり、その右にある建物の入り口の上に黒地に金色の文字で「厚徳福飯荘」と書いた看板がある。見た目はちっぽけで、小さな路地の奥に埋もれているので、行ったことのない人にはわからない。 たとえ見つかっても、中が暗いので入るのに躊躇す... 続きをみる

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  • ニラ饅頭、梁実秋

     ニラは一番安い野菜の一つで、どの場所にも一年中ある。強烈な匂いがし、嫌いな人は「臭い」と言い、好きな人は「いい香り」と言う。道教では「五葷」の一つとして、ネギやニンニクと同列に扱っている。が、実際はニラが好きな人は多く、雅俗を問わない。  ある年、青島の住まいの裏山を散歩していたら、数人の石工が... 続きをみる

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  • 魚肉団子、梁実秋

     初めて台湾に来た時、手押し車で魚肉団子を売っているのを見た。その場で煮たものを売っており、湯気が立ち昇っていた。ひと碗に大きめのものが二つ入っていた。かなり噛み応えがあった。団子もスープも濁って灰色がかっていたが、味は良かった。  私の母は杭州人なので南方風の味付けの料理が得意なのだが、厨房に行... 続きをみる

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