多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

多田敏宏:中国の食と病と文学のブログの新着ブログ記事

  • ダイコンスープの啓示、梁実秋

     抗日戦争の時初めて重慶に行き、上清寺にある友人の家に泊まった。夕食は、主人がスペアリブとダイコンのスープでもてなしてくれたが、謙遜して「このスープはあまり美味しくありません。私の友人の楊夫人が作るスペアリブとダイコンのスープこそ絶品です。真似をしようとしてもかないません。一度お食べになったらわか... 続きをみる

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  • ホウレンソウ、梁実秋

     私たちがいつも食べるホウレンソウは、唐の太宗のときに西域から入ってきたものだ。おいしいだけではなく、鉄分を含んでいる。  数年前、テレビで漫画の「ポパイ」を見たが、ホウレンソウを秘密兵器として携帯していた。ホウレンソウを飲み込んだとたんに細い腕が筋肉隆々となり、相手をなぎ倒す。どうしてホウレンソ... 続きをみる

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  • 体を暖めるスープ、悦家工坊

    南方であろうと北方であろうと冬は寒くなり、みんな服を着てしのぐ。それも重要だが、体の内部から暖めるとより効果がある。食物によって体に熱量を供給するのである。冬に何を食べれば、体の中に小さなストーブができ、病を防げるのか? 1.白胡椒と豚の胃のスープ 材料:白胡椒十五グラム、豚の胃一個、食塩、料理用... 続きをみる

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  • 秋冬の漢方養生法、恵好大薬房

     秋と冬は人の抵抗力が最も落ちる季節だ。養生の仕方を学んで、病気を減らそう。 1.陰を養うため、多めに水分を取る  乾燥している秋と冬は、毎日皮膚から六百ミリリットルの水分が蒸発するので、補う必要がある。成人は毎日最低1.5リットルの水分補給が必要だが、秋は2リットル取らないと肺や気管の潤いを保て... 続きをみる

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  • ササゲ、汪曽祺

     子供の頃はササゲが一番嫌いだった。皮が二重で味が薄かったからだ。北京に来て年を重ねると、ササゲも美味しいと思うようになった。人の味の好みは変わるものだ。たとえば、小さい頃は、豚の肺はふわふわしてかみ心地が悪いと感じたので、食べなかった。年をとってから、老人の歯にぴったりで、美味しいと思うようにな... 続きをみる

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  • 桃汁蛇肉の作り方(中国:毒蛇ネット)

     桃汁蛇肉は、私たちが普段食べる果物の桃と蛇を結びつけた料理だ。桃は甘酸っぱくて、性は温、体液の分泌を促して腸を潤し、血を活性化して、肌を美しくする。桃は体を強くし、肌をきれいにして、痩せと乾燥肌、生理不順、咳、高血圧などに効果がある。蛇肉は体に滋養をつけるよき食品で、免疫力を高め、各種の風湿病に... 続きをみる

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  • 白肉(水炊きした豚肉)、梁実秋

     白肉、白煮肉、白切肉、名前は違うが、みな水炊きした豚肉のことだ。誰でも水炊きくらいできる。が、味や様相はそれがれ異なる。各地のレストランで白切肉を出し、各地の家庭で作っているが、それぞれ違う。  北平の白切肉といえば、まず砂鍋居が思い浮かぶ。 砂鍋居は俗名で、正式名称は居順和、西単の牌楼の北側に... 続きをみる

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  • 冬に食べるといい粥(健康飲食ネット)

     粥療法は中国で悠久の歴史があり、民間でも広く応用されている。冬は天寒く地が凍る。漢方医学では、寒の気が盛んになると人の陽の気を傷つけると考えている。老年の人は陽の気が足りないので、寒さに耐えられない。民間でよく用いられている寒さを防ぐ粥を紹介する。 1.羊肉の粥  脂身のない羊肉二百五十グラムを... 続きをみる

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  • 寒い時に飲む茶(快問新聞部)

     一年四季を通して、私たちは毎日身辺の人に水を飲むように言っている。風邪で熱が出れば白湯を飲むし、女性は生理期は多めに水を飲まねばならない。水を飲むのは私たちの日常の習慣になっている。わが国には古くから茶を飲む習慣があり、健康と養生にいい茶もいくつかある。それでは、寒いときにはどんな茶を飲めばいい... 続きをみる

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  • 冬に食べるといい料理(各地美食)

     冬は寒く、陰が盛んとなり陽が衰える。そのため人体の生理機能が落ちるので、栄養を取らねばならない。「冬に栄養をつけて春にトラを退治する」という言葉もある。暖かさを保つことはとても重要だが、合理的な食事も大事だ。 1.卵とミンチの蒸し物  材料:ヒレ肉、シイタケ、鶏卵  作り方:1.ヒレ肉を洗ってミ... 続きをみる

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  • 蟹粉湯包、唐魯孫

     北方人の食べる包子 では、天津の狗不理 が素晴らしい。餡が大きくて皮が薄く、油も十分だ。これと比肩できるのは上海五芳斎の小湯包 、南翔饅首 、淮城湯包 くらいだ。  北平の玉華台が錫拉胡同に店を開いた。 友人の画家陳半丁、名医の江逢春は久しく北平にいる蘇州人だ。彼らが「玉華台の作る淮城湯包は淮城... 続きをみる

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  • 太陽餻、唐魯孫

     二日前、数人の北京の友人と飲んでいたところ、そのなかの一人に「太陽餻を食べたことがありますか?どんな由来のものですか?」と尋ねられた。私は答えた。「北京にだけあるもので、旧暦二月一日に売っています。白米をうすでひいて粉にし、それを木の型に入れ、模様をつけてクレープ状に固めます。五枚それを重ねて、... 続きをみる

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  • ツバメの巣(随園食単:清時代の料理書)

     ツバメの巣は貴重なものなので、軽々しく使用すべきではない。もし使用するなら、まず、百グラムの加熱した泉水に浸して、銀の針で黒い糸を取らなければならない。その後、若鶏のスープ、火腿(中華ハム)のスープ、新鮮なキノコのスープでゆでて、ツバメの巣が玉の色になったら、できあがりだ。 あっさりしたものなの... 続きをみる

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  • 西施の舌、梁実秋

       郁達夫が1936年「福州における飲食と男女」という文で、西施の舌(西施は中国四大美女の一人)について書いている。  :「閩小記」に書かれている西施の舌がカラスガイの肉を指すかは知らない。が、カラスガイの肉は色が白くて肥えており、さくさくとした味でニワトリのスープで煮るのが適している。楕円形の... 続きをみる

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  • ワンタン、梁実秋

     ワンタンの歴史は悠久で、南にも北にもある。子供の頃、午後になると「ワンタン鍋が煮えたよ!」と叫びながら、行商人が路地に売りにきた。その天秤棒の上のワンタンは独特の風味があって、美味しく、値段も安かった。骨のスープで長時間煮たもので、濃い味だった。ワンタンの皮は薄く、肉はわずかだった。が、具材は少... 続きをみる

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  • フカフレ、梁実秋

     フカヒレは酒席の重要料理だ。醤油で煮込んだもの もあれば、吸い物 もあり、蒸したもの もある。平たい大皿にのっているものは、一度箸をつけるとほとんどなくなる。   フカヒレとはサメのヒレで、背びれ、胸びれ、腹びれ、尾びれがある。外国人が捨ててしまうものを我々が高級食材にしているので、笑い話になっ... 続きをみる

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  • 八宝飯、梁実秋

     宴席の終わりに出る八宝飯というスイーツは、広く歓迎されており、標準以下のものはあまり見ない。実は作り方は簡単で、秘訣はひとつだけ、元手を惜しまないことだ。  八宝飯の主役はもち米だ。柔らかければ柔らかいほどいいが、蒸して柔らかくするのは容易ではない。それゆえ、事前に煮て八分目まで柔らかくしておく... 続きをみる

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  • カニ、梁実秋

     カニは美味だ。南北、雅俗を問わず、人々に愛される。当然、私が言っているのは河カニで、海カニではない。台湾からわざわざ飛行機に乗って香港まで食べに行く人もいる。だいぶ前、友人が香港からカニを一かご持って帰り、私に二匹分けてくれたが、とても美味しかった。秋のさわやかな頃、大陸のいかなる河や湖、渓流で... 続きをみる

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  • 火腿(中華ハム)、梁実秋

     以前は北方人は火腿の食べ方を知らず、脂っこくて嫌だと言っていた。調理の仕方が下手だったのかもしれない。火腿を見ると恐怖を感じる北方人もいて、清醤肉 の方を好んできた。のちになって、多くの北方人も火腿を味わうようになったが、火腿は結局は南方の物で、北方ではあまりはやらない。いくつかの北方のレストラ... 続きをみる

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  • ハト、梁実秋

     明時代の書物に「顔清甫という人が病に伏したところ、その子供がドバトを弓で射落として食べさせた」と書いてある、ハトを弓で射落とすことは北方ではよくある。食べるのだ。顔家の子供が射落としたのは伝書バトだったので、後でお父さんが謝りに行った。  私が子供の頃、石弓でカラスを射落とそうとした人がいた。カ... 続きをみる

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  • アヒルの水かき、梁実秋

     ニワトリの足、 アヒルの水かき、 ガチョウの足、 みんな食べられる。  「呂氏春秋」に「斉王がニワトリの足を好んで食べた」と記載されている。ニワトリの足と言っても実際は皮を食べるようなものだが、好きな人もいる。広東のレストランでは「鳳爪」という美しい名で呼ばれ、煮たスープは美味だ。冬シイタケと「... 続きをみる

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  • 餃子、梁実秋

     「餃子よりおいしいものはない。横たわっているより気持ちのいいことはない」これは中国北方の田舎に伝わることわざだ。北平の市街地の人はこうは言わない。かつて北平の人は餃子を「煮饽饽」と言っていたからだ。満州語かもしれない。私は十四歳になってやっと「饽饽」が餃子のことだと知った。  北方の人は、貴賤を... 続きをみる

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  • 仏跳牆,梁実秋

     仏跳牆という名はとても奇怪だ。仏様が塀を飛び越えてまで味わいにくるとは、どんな料理なのか?台湾に来る前は、聞いたことがなかった。  「読者文摘」(1983年7月)が「仏跳牆」という短文を載せていた。「とても罪作りな料理で、魚や肉を使っている。豚足や鶏肉、ナマコ、ひづめなどを同じ鍋でじっくり煮込ん... 続きをみる

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  • 濃厚な香り、菊花鍋、唐魯孫

      一昨日、花市場で本物の白菊の花を二鉢見た。普通の白菊の花は花弁がカニの爪のような形で花芯が緑がかっており、渋みを帯びた苦い香りだ。本物の白菊は、花弁が開き、花弁も花芯も一律に純白だ。かつて袁寒雲が詳細に書いており、菊花鍋には本物の白菊の花を選ぶのがいい選択だと述べている。  かつて劉喜奎という... 続きをみる

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  • (精気を益し、耳目を聡くする)オニバスの実、唐魯孫

       北平市内には池が少なく、市の南の金魚池、北の積水潭ではヒシやハス、オニバスは植えていない。什刹海と筒子河、西郊の海淀でだけ植えており、緑と紫が鮮やかだ。聞くところによれば、河に入って採取するのは夜明け前でなければならない。一夜を隔てるとオニバスの実の色が変わり、渋みが増してしまうそうだ。それ... 続きをみる

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  • ナマコ、梁実秋

     ナマコはそんなに珍しいものでははない。ただし、乾燥ナマコは調理の前に戻さないといけない。それには時間もかかり、簡単ではない(最近は簡単なものも売っているようだ)。それゆえ、以前は家庭料理ではナマコは使わず、レストランや料亭だけだった。  外国人はナマコを食べないと、かつて私は思っていた。我々がナ... 続きをみる

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  • 黄河コイの「三喫」、唐魯孫

     現在、台湾北方のレストランでは一匹の魚を幾通りかの方法で食べることがはやっている。実際は一キロ以下の魚だと、頭と尾を取ってしまえば、食べられるところはたいして残らない。中国大陸にいた頃は、毎年活きたコイで儀式を行い、そのあと放していた。清時代の有名人は、コイが龍門を登るという言い伝えを気にして、... 続きをみる

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  • アワビ、梁実秋

     アワビは殻のある軟体動物で、海水中の礁石にへばりつき、藻類を食している。殻の外ヘリに呼吸用の孔が並んでいる。私たちの土地で「九孔」と呼ぶものは、アワビの一種だ。  アワビの美味を褒めない人はいない。新鮮な「九孔」はどこの海鮮店でも売っており、独特の美味だ。が、日干しにした広東のアワビ や缶詰のア... 続きをみる

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  • 柿子糊塌(柿ペーストの揚げ物)、賈平凹

    そろそろ柿の季節です。かつての唐の都長安があった陝西省に伝わる柿の調理法を、陝西省の作家が紹介しています。   柿子糊塌,贾平凹  臨潼には火晶柿がある。火のように赤く、水晶のように輝き、果肉は細密で、硬い芯もない。当然食べたいのだが、季節に限りがあり、持ち運びも不便なので、柿子糊塌という調理法が... 続きをみる

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  • 東北の風味、端木蕻良

    豚足の醤油煮  子供の頃食べたおいしいものは、今でも覚えている。この豚足の醤油煮は作り方がユニークで、コストも高かったかもしれない。手間暇をかけ、時節も適切だったので、どこにでもあるというものではなかった。幼い頃母が作るのを見たことがあるが、深く印象に残っている。  清の末から民国の初めにかけては... 続きをみる

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  • 蘇北の獅子頭、張振楣

     蘇北の料理は何度も食べた。とてもさわやかな味だ。見た目は少し田舎くさいが、核心部分はなかなかのものだ。淮安のタウナギ料理、揚州の干絲、東台の魚湯麺は有名な料理なので、他所に比肩できるものはない。以前、周恩来総理が北京飯店に外国の賓客を招かれた時、揚州獅子頭が出た。宴会が終わると、周総理はコックに... 続きをみる

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  • 酸梅湯と糖葫藘、梁実秋

     夏に酸梅湯 を飲み、冬に糖葫藘を 食べるのは、北平において各階級の人々が享受できる楽しみだ。が、いいものと悪いものがある。琉璃厰の信遠斎の酸梅湯と糖葫藘は、特別に素晴らしい。他の店や街頭で売っているものとは全く違う。 徐凌霄は「旧都百話」の中で酸梅湯について次のように書いている。「暑い日の氷とい... 続きをみる

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  • 臘肉(中華風燻製肉)、梁実秋

     塩漬肉を燻して作る。旧暦十二月(臘月)の終わりか旧正月の初めに取り出して食べるので、臘肉と呼ぶ。  湖南の臘肉が最も有名だが、店舗ではなく、一般の人の家でこそ真の臘肉が味わえる。臘肉はもともと我々の農村社会の家庭の産品で、長く保存でき、自分たちでも食べるし、接客にも使う。それは「一年を通した」普... 続きをみる

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  • 黄魚、梁実秋

     黄魚は正式名称を石首魚という。頭の中に石のような骨が二つあるからだ。我が国の近海ならどこでも取れ、金門澎湖一帯のものは、ことに大きくて肥え、ほとんど四季絶えることがない。「本草•集解・志曰」に「石首魚は水を出て鳴くことができる。夜目もきく。頭のなかに碁石のような石がある。あるカモの頭の中にも石が... 続きをみる

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  • ヒシの実の粥

     ヒシの実は水栗ともいい、一年生水生植物ヒシの果実だ。果肉は美味しく、蒸しても粥にしてもいい。味は甘で性は涼、豊富なタンパク質と不飽和脂肪酸、多種のビタミンと微量元素を含み、脾と胃によく、利尿と母乳分泌の作用があり、体液の分泌を促して渇きを止め、肌を潤して髪をきれいにし、暑気を払って熱を取る。脱力... 続きをみる

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  • ナス、梁実秋

     北方のナスは南方のナスと異なるところがある。球形でやや平たく、南方のもののように細長くない。形はさておき、質も大きく違う。北方は気候が乾燥しているので、野菜や果物は水分の欠乏を免れない。それゆえに、質が硬い。  「焼きナス」 は北方の普通の家庭料理だ。ナスを皮をむかずに四センチくらいに切り、皮の... 続きをみる

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  • 美容と健康にいいハトムギの粥

     ハトムギは真珠のような色で、真珠米とも呼ばれる。味は甘で性は涼、タンパク質が豊富で、脾を健やかにして肺を補い、熱を清める。食用にも薬用にも使える。明代の李時珍の「本草綱目」にハトムギは「脾を健やかにして胃を益し、肺を補って熱を清め、風を去って湿に勝つ。ご飯として食べれば、冷気を治す。煎じて飲めば... 続きをみる

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  • 蓮子(ハスの実)、梁実秋

     ハスの花のあるところにハスの実がある。  私が子供の頃、夏になると今は亡き父が必ず什刹海に遊びに連れていってくれた。ハス池の周りは人でいっぱいだった。夕食はいつも会賢堂でとった。座席につくと、まず氷の入った大きな碗を持ってくる。氷の上にはレンコンやヒシの実、クルミの実、ハスの実などが並んでいた。... 続きをみる

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  • 健康促進、ハスの実の粥

    体にいいと言われるハスの実を使った粥をいくつかご紹介します。 ハスの実粥  ハスの実二十グラム、コメ百グラム。ハスの実とコメを別々に清水に浸したあときれいに洗い、鍋に入れて清水を加える。強火で沸かしたあと弱火で、粘り気が出るまでじっくり煮ればいい。いつでも食べられる。心を養って、脾を健やかにし、腎... 続きをみる

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  • 筍、梁実秋

     我々中国人は筍を食べるのが好きだ。詩経にも筍のことを述べた詩がある。唐朝には、専門に竹の管理をする役人までいた。宋朝の蘇東坡は初めて黄州にきた時、長江の魚の美味しさと筍の素晴らしさを詠い、のちに「竹がなければ俗になり、肉がなければ痩せる。それを防ぐには筍と肉を一緒に煮るしかない」と詩に書いた。筍... 続きをみる

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  • 北京の火鍋(鍋物)、金受申

     寒くなった北京では火鍋は伝統ある家庭の享楽であり、楽しみを分かち合う食べ物だ。かつて火鍋は材料とスープに極めてこだわり、スープは本物のキシメジと冬野菜、綿羊の尻尾の油、ネギ、ショウガなどを使用してこってりおいしく作っていた。鍋の具は簡単なものでは豚肉の肉団子と北京風焼豚の二種類。複雑で高価なもの... 続きをみる

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  • タウナギの千切り炒め、梁実秋

     タウナギは我が国の特産だ。各地に産し、腹が黄色い。浅い池や田んぼなど、どこにもいる。  見た目は蛇のようで少し恐ろしい。鱗がなく、全身が粘液で覆われ、ツルツルしているので、食べるのを怖がる人もいる。子供の頃料理人がタウナギを捌くのを見たが、印象に深く残っている。タウナギは中庭の大きな甕に入ってい... 続きをみる

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  • 秋に適した飲み物(中国のサイト)

    中国のサイトに掲載されていたので、ご紹介します。  リンゴとリュウガン、ナツメの飲み物   材料:小さなリンゴ七個か八個、ナツメ五粒、乾燥したリュウガン八粒、クコ十五粒、乾燥した菊の花十個   副材料:氷砂糖百グラム、水千二百ml   作り方:1.乾燥したリュウガン八粒の種を抜き、ナツメ五粒を洗い... 続きをみる

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  • 体にいいクコの粥

     クコは全身が宝で、明代の李時珍の「本草綱目」に「春にとるクコの葉は天精草と呼び、夏にとるクコの花は長生草と呼び、秋にとるクコの実は枸杞子と呼び、冬にとるクコの根は地骨皮と呼ぶ」との記載がある。  クコの実は最もよく使われる栄養補充品で、粥やペーストにしたり、酒に漬けたりする。性は平で、肝、腎、肺... 続きをみる

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  • アモイの春巻、舒婷

     春巻の普及範囲は狭い。心から知るのは福建南部の人だけだ。アモイと泉州は共に福建南部だが、春巻の体系は異なり、独自の発展を辿っている。  アモイで数年仕事をした外地の人が、必ずしも正統のアモイ春巻を知っているとは限らない。冬の盛りになると街路の小さな露店で春巻を売り始めるが、それらは大衆化されたも... 続きをみる

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  • 風邪に効く「神仙粥」、食憲鴻秘

     最近涼しくなってきましたので、風邪に効果があると清時代の「食憲鴻秘」という料理書に記されている「神仙粥」をご紹介します。 もち米五十グラム、ショウガ五切れ、河川の水二碗を土鍋に入れて煮る。二回沸騰させてから、七個か八個のひげ付き白ネギを入れ、米がドロドロになるまで煮込む。それに杯半分の酢を入れ、... 続きをみる

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  • 古き良き北京の乳製品、唐魯孫

     北平(北京の旧称)の嬭酪と言えば、現在四十歳を過ぎ、北平で成長した人なら、味と形を知っているかもしれない。それより年が下なら、北平で成長した人でも印象はないだろうし、聞いたこともないかもしれない。  北平の嬭酪は、満洲人の日常食品の一種で、甘いものだ。純粋な牛乳に適量の酒醸と砂糖を加え、一碗ずつ... 続きをみる

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  • 体にいいレンコンの粉(食憲鴻秘)

    これはレンコンの粉を水に溶かしたものです。「食憲鴻秘」という清時代の料理書によると、レンコンの粉は体にいいそうです。  「一定期間置いておいたレンコンを短く切り、水に浸す。大きな甕の上部に棚を作ってそこに石臼を置き、そのレンコンを石臼でひき続ける。そしてレンコンの汁が甕に落ちるようにする。そのレン... 続きをみる

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  • ソラマメ、汪曾祺

     そろそろ北京に新しいソラマメが出回る頃だ。ソラマメはとても美味しく、ご飯のおかずにもなるし、おやつにもなる。色々な食べ方があって、それぞれ美味しい。  私の故郷では、若いソラマメを内部の皮と一緒に炒めた。野菜の塩漬けを刻んだものを少し加えると、美味しさが増した。 赤ヒユを炒めたものを緑の豆に加え... 続きをみる

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  • 五味、汪曾祺

     山西の人は本当に酢をよく飲む。山西の人が数人北京のレストランに来て、席に座ると、料理を注文する前に、酢の瓶を持ち出して飲む。隣に座っている客は目を見張る。ある年私は山西の太原に行った。もうすぐ春節だった。他の土地なら春節はいい酒を飲んで祝うのだが、太原の油や塩を売る店は「長年寝かせた酢があります... 続きをみる

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  • 様々なダイコン(二)、汪曾祺

     コウシンダイコンは北京の特色だ。1948年の冬私は北京に来たが、街角や路地裏でダイコンを売る声が響いていた。  私はかつて張家口で労働に参加し、コウシンダイコンの収穫業務を行っていた。張家口の土質はダイコンにぴったりで、大きなコウシンダイコンがとれた。収穫したものをそのまま食べることもあった。私... 続きをみる

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  • 様々なダイコン(一)、汪曾祺

     北京で言うハツカダイコンを私の故郷では楊花ダイコンと呼んでいた。楊花(ヤナギの綿)が舞う頃に出回るからだ。季節感に富んだ呼び方だ。私の家から遠くない食堂の軒下で、年を取った女性が子供相手に露店でちょっとした食べ物を売っていた。楊花ダイコンが出回ると、それも売っていた。鮮やかな赤だった。コインを一... 続きをみる

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  • 雲南昆明のキノコ類、汪曾祺

     私は昆明に七年いた。昆明を離れてもう四十年経つが、昆明のキノコは忘れていない。  雨季がくると、様々なキノコが生えそろう。空気の中にキノコの香りが充満する。貧乏人も金持ちも、皆キノコが食べられる。  よく見るのはヤマドリダケとアイタケだ。ヤマドリダケはかさの正面は牛の肝のような色をしている。裏側... 続きをみる

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  • 魚は我が欲するところなり、汪曾祺

    ハタ  私が最初にハタを食べたのは、1947年だ。ベトナムのハイフォンで華僑が経営しているレストランでのことだ。興味ある食べ方だった。大きなハタを一匹醤油で煮て、生のハッカの葉を添えていた。隣に座っている人の真似をして、一口ハタを食べるたびに、ハッカの葉を数枚噛んだ。ハッカの葉が口に残った魚の味を... 続きをみる

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  • 肉食はいやしからず(二)、汪曾祺

    臘肉(中華風燻製肉)  湖南の人は臘肉を好んで食べる。農村の人が豚を殺すと、たいていは塩に漬けて、かまどの梁の上に吊るし、燻製にする。私はそんなに好きではないが、長沙の大きなレストランで食べた蒸し臘肉は美味しかった。普通の臘肉は帯状で、形が整っていないが、そこで食べた臘肉は長方形にきちんと切りそろ... 続きをみる

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  • 肉食はいやしからず(一)、汪曾祺

    獅子頭  獅子頭は淮安の料理だ。豚肉の赤身と脂身を半分ずつ使うが、油っこいのが好きな人は脂身七:赤身三の割合にする。それをザクロの粒くらいの大きさに切り刻み(機械は使わない)、クワイを細かく刻んで混ぜ、みかんぐらいの大きさに丸める。それを油で揚げる。外側に薄い殻のようなものができたら取り出して、水... 続きをみる

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  • 餌塊(米の粉で作った雲南の食品)、汪曾祺

     餌塊とは米の粉を圧して大きな塊にした後、大きな蒸籠で蒸し、それを薄い長方形に切った食品だ。カルタくらいの大きさに切ってスープで煮たり、肉や野菜を加えて炒めたりする。 餌塊を細い糸のように切ったものを餌絲という。 米線は柔らかくて噛み応えがなく、口に入れるとあっという間におなかに滑り落ちる。餌塊と... 続きをみる

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  • 米線(米の粉で作った雲南特産の麺類)、汪曾祺

      米線は米の粉を麺類の形に圧縮したもので、張家口のハダカエンバク麺と同じくらいの太さだが、口当たりは全く異なる。米線はきれいな白で、なめらか、そして柔らかい。色白で細身の女子学生に「米線」というあだ名がつくくらいだ。作業坊から出てきたらもうすでにできており、あとは副材料と湯を加えて、少し煮れば食... 続きをみる

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  • 豆腐の様々な調理法(二)、汪曾祺

     なぜかは知らないが、現在北京の老豆腐を見かけない。かつては多くの露店で売っていた。老豆腐は硬くない。豆腐脳と同じくらいだ。味付けは簡単で、ごまペーストとニラの粉を使う。露店の腰掛に座り、老豆腐を一碗注文して大きなクレープで巻いて食べるのは、とてもいい。  四川の豆花は素晴らしい。 私と友人は四川... 続きをみる

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  • 豆腐の様々な調理法(一)、汪曾祺

    豆腐は硬めのものを北豆腐と言い、柔らかめなものを南豆腐と言う。もっと柔らかいのが豆腐脳だ。 豆腐脳より少し硬いものが北京の「老豆腐」と四川の「豆花」だ。豆腐脳より柔らかいものが、湖南の水豆腐だ。  豆腐を型に入れて圧力を加えたものが、豆腐干だ。  豆乳を煮た時に表面に凝結した膜を掬い取って陰干しに... 続きをみる

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  • 北京の伝統飲料「豆汁」、汪曾祺

     豆汁を飲まなければ、北京に来たとは言えない。  子供の頃「豆汁記」という京劇を見たが、「豆汁」がどういうものかわからなかった。豆乳のことだと思っていた。  北京に来てから、友人にあぶったアヒルや肉、羊肉のしゃぶしゃぶをご馳走になったとき、「豆汁を飲むかい?」と尋ねられた。私は「なんでも食べる」タ... 続きをみる

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  • 北京の伝統食、面茶(中国のサイト)

     北京の「面茶」という軽食は、おいしくて簡単に作れる。朝食としてとれば、一定の熱量を持っているので、一碗で一日中元気だ。  かつての北京っ子は面茶を飲むとき工夫を凝らした。碗を持っても箸もしゃもじも使わず、碗のふちをぐるぐる回して口の中に吸い込んだ。これは伝統的なやり方で、北京特有の文化だろう。 ... 続きをみる

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  • 擂茶を飲む、汪曾祺

     旅行鞄を置くと、文化局の同志が擂茶を飲みに行こうと誘いに来た。 以前から擂茶の名は聞いており、今回ここに来たのも半分は擂茶のためだ。思わぬことに列車を降りた後、最初に擂茶を飲みに行けることになったので、当然うれしい。茶の葉、ショウガ、ゴマ、米に塩を加えてすり鉢に入れ、硬い木の棒で作ったすりこぎで... 続きをみる

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  • 秋の果物と野菜、汪曾祺

     中国人は物を食べる時、色と香りと味を大切にする。色と味については書いたことがあるので、今は香りの話をする。  江陰にいくつか果物店があるが、最も大きいのは正街正面の寿山公園にある店だ。種類が多く、大きくて新鮮なものを売っている。中に入ると、濃い果物の香りが鼻を打つ。最も突出しているのはバナナの甘... 続きをみる

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  • よく作る酒のつまみ、汪曾祺

     ふだんの酒のつまみに必要なのは、新しさと金がかからないこと、簡単に作れることの三つだ。たまの客が来ると、酒を飲みたくなる。主は袖をまくり上げて厨房に行き、ネギやショウガを切ったり調味料を作ったりしつつ、客とおしゃべりをし、落ち着き払って平然としているのがいい。主があわただしくしていると、客も落ち... 続きをみる

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  • 羊の手づかみ肉、汪曾祺

     モンゴル人は子供の頃から羊肉を食べ慣れており、数日食べないと落ち着かなくなる、  八、九月は草原が一番美しい。ひと夏の雨を経て、草が皆育ち、草原はまさに碧緑となる。至る所に様々な色の花が咲き、羊は脂身をつける、  内モンゴルの作家はこの時期に草原に行き、生活を体験し、調査を行うことを好む。「秋の... 続きをみる

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  • 秋の北京のあぶり肉、汪曾祺

     夏になると食欲がなくなり、薄味で簡単な料理を食べるようになる。ごまペースト麺(湯がいてキュウリの千切りを加え、サンショウ油をたらしたもの)や刻んだネギを練り込んだクレープ、緑豆粥などだ。 二ヶ月か三ヶ月経つと、体重が少し減る。秋風が吹くと食欲が出てきて、いいものを食べて栄養をつけ、夏の補いをしよ... 続きをみる

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  • 昆明の鶏肉料理、汪曾祺

     中国には様々な鶏の食べ方がある。全国のいろいろな食べ方のコンテストをやれば、金メダルを取るのはどんな食べ方か?私は昆明の「鶏肉の蒸気鍋炊き 」だと思う。  誰がこういうユニークな食べ方を考えたのだろう?たぶんまず蒸気鍋ができて、それから「鶏肉の蒸気鍋炊き」ができたのだろう。蒸気鍋は建水で作ったも... 続きをみる

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  • 干絲(乾燥した豆腐を千切りにしたもの)、汪曾祺

     南京、鎮江、揚州、高郵、淮安には干絲がある。その源は揚州だろう。淮揚料理の代表作の一つで、多くの料理書に記載されている。が、実際は「料理」ではない。ご飯のおかずではなく、茶を飲む時のつまみだ。  揚州一帯の人は朝に茶を飲む習慣がある。「揚州人は朝に茶を飲み、晩に風呂に入る」とも言われている。揚州... 続きをみる

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  • 台湾、豚足食べ歩き、焦桐

    豚足についていえば、私は汁につけて煮たものと焼いたものが好きだ。色合いが魅力的だし、調理の際に漂ってくる香りが臭覚をいざなう。臭覚は味覚に訴え、味覚は知覚に語り掛け、様々な美の快感が楽しくせめぎあう。私はかつて台中の「阿水獅豚足大王」の汁で煮た豚足が好きだった。中に入ると、豚足を漬け込んだ、大きく... 続きをみる

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  • 火腿(中華ハム),汪曾祺

     雲南の宣威火腿と浙江の金華火腿は共に有名で、甲乙つけがたい。金華火腿は多くの人に知られ、種類もも等級も多い。「雪舫蒋腿」は有名だ。より高級なのは、竹の葉でいぶした「竹葉腿」というものだ。宣威火腿はそんなに凝っておらず、なんとなく火腿と呼ばれている。宣威ではそれぞれの家で火 腿を作っているが、集中... 続きをみる

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  • 栗,汪曾祺

     栗はハリネズミのような変わった形をしている。長いトゲの生えたイガの中で何個かがぴったりくっつき、団結して成長する。その中に一つ平たいのがあって「へそ栗」と呼ばれている。味は他のものと同じだ。松かさやクルミ、ギンナンなどナッツ類の外面にはたいてい保護層がついている。リスに食べられないためだろう。 ... 続きをみる

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  • 豚足の話、焦桐

     私の妻の母は豚足料理が得意で、客家の伝統の味だった。まずきれいに処理した豚足にニンニクとハッカクを加え、米酒と醤油に三十分浸す。それに加熱した干しタケノコを加えて蒸すというものだ。干しタケノコが豚足の油を吸い込み、本来の味にそれが加わって、とても美味しくなる。  豚足を焼くのは南方の発明で、浙江... 続きをみる

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  • 臭豆腐(豆腐を発酵させて作る臭みのある食品)、汪曾祺

     中国人以外に、臭いものを好んで食べる人がいるだろうか。  かつて上海、南京、漢口ではすべて臭豆腐を油で揚げたものを売っていた。長沙火宮殿の臭豆腐は、ある大人物が若い時によく食べていたので有名になった。この大人物はのちにそこに行って食べ、「火宮殿の臭豆腐はやはりおいしい」と言った。「文化大革命」の... 続きをみる

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  • ダイズ、汪曾祺

     豆の葉は、古代は野菜として食べていた。おそらくとろみのあるスープにしていたのだろう。その後、誰も食べなくなった。豆の葉のあえものや炒め物など聞いたことがない。  私の故郷では、夏、エダマメを炒め、青トウガラシを加えて、何度か食べた。中秋節になるとエダマメを煮て、月に供えた。さやつきで煮た。父はよ... 続きをみる

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  • 花ニラ、汪曾祺

     北京の花ニラは、漬けたあとひきつぶして、汁と一緒にする。羊肉のしゃぶしゃぶを食べる時の調味料として欠かせないが、漬物としても食べられる。干したオキアミとハクサイの煮物を食べるときに、花ニラか、臭豆腐(塩漬けの豆腐を発酵させたもの)か、エビ味噌を蒸しパンやクレープに塗りつけて口に入れるのは、北京の... 続きをみる

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  • 遅子建、故郷(中国東北地方)の食(二)

     端午節の後の重要な祝日といえば、中秋節だ。中秋節には必ず月餅を食べる。当時商店で売っていた月餅は一種類だけで、ピーナッツやクルミ、白砂糖などを混ぜ合わせた餡を使っていた。現在の五仁月餅に似ており、とても甘かった。子供の頃私は虫歯が多く、月餅を食べて歯がとても痛くなり、みんなが月を愛でている時に大... 続きをみる

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  • 遅子建、故郷(中国東北地方)の食(一)

     北方人は食べるのが好きだ。が、南方人のように工夫を凝らして精緻なものを食べるわけではないので、料理の味は濃く色も暗い。それゆえ宴席に使えるものはとても少ない。しかし一般民衆は宴席料理を必要としているわけではないので、そういう普通の料理こそ私たちが最も好むものだ。  年越しでも祝日でもなければ、ふ... 続きをみる

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  • 江南の軽食、チャンチン、(徐風)

     春になると食欲が出てくる。チャンチンがそろそろ食卓に上がるようになる。高い山の上でチャンチンは寂しく育つ。最も柔らかい時、山はまだ寒く、花もまだ咲いていない。が、チャンチンを好んで食べる人たちは急いで山に登る。チャンチンは紫チャンチンと油チャンチンの二種類がある。紫チャンチンは、優れた質で、やや... 続きをみる

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  • 槐葉の冷淘、杜甫

    約千二百年前の唐時代に「槐葉の冷淘」という暑気を取る食品がありました。エンジュという木の葉を小麦粉と混ぜ、麺にして冷やして食べるというものです。試してみるのもいいかもしれません。杜甫が詩に書いています。    槐葉の冷淘 杜甫  青々と高く茂ったエンジュの葉を摘み、厨房に持っていく。その汁と滓をで... 続きをみる

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  • 江南の夏料理、車前子

     春は、一年の食生活の始まりだ。緑滴るありさまは、とても気持ちいいが、短い。  江南の夏、夕食時になると、人々はテーブルと腰掛を運び出して路地裏に座り、夕食を食べながら、夜風に涼む。あらかじめ井戸水をまいておくが、しばらくすると街灯がともる。黄色く光る電柱と街灯だ。  このとき、人々は薄い味付けを... 続きをみる

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  • 上海ガニの話、鄭逸梅

     ほとんどの人がカニが好きだ。だが、ここ数年、上海ガニはぜいたく品になっており、大切なことや困難なことを頼むときのよき贈り物になっている。私が最後に上海ガニを食べたのはいつだったか、思い出せもしない。秋風が吹くと、「菊の花とカニのはさみを見て楽しむ」ことしかできない。  私は蘇州人だ。蘇州人がカニ... 続きをみる

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  • 温州のビーフン料理、林斤瀾

     米をひいて粉にし、水を混ぜてペースト状にしたものを糸状に切り分ける。それを鍋に入れてじっくり煮て、陰干しにする。南方の省ならどこにでもあるビーフンだ。髪の毛のように細いものは竜の髭とも呼ばれる。  農家が顔なじみや招かれざる客を応接するとき、ビーフンを炒めて出す。どんぶりにてんこ盛りにし、「お粗... 続きをみる

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  • 温州の魚料理、林斤瀾

       魚の料理法は地方によって、調味料も作り方も異なり、とても種類が多い。私は以前は甘いのが一番だめだと思っていた。漢方薬を使うのは、貴重ではあるが正統ではない。酸っぱい料理では、シーサンパンナのタイ族の「酸魚」が独特の風格だ。濃い味付けでは、四川料理が代表的だ。塩辛さや油っこさ、辛さの中に魚肉の... 続きをみる

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  • 粥と人生(三)、張抗抗

     広東に行ってから、粥に関する見識が大いに広がった。白い粥から黄色い粥という「初級レベル」から、色彩豊かな「中級レベル」へ進んだ。粥の効能も飢えを凌ぐという実用性から、美や精神の享受という「高度」へと進んだ。そういう時に「紅楼夢」を再読し、五千年の文明の歴史を持つ中華民族には悠久の粥文化があること... 続きをみる

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  • 粥と人生(二)、張抗抗

     砂糖入りのエンドウマメの粥は粥に関する記憶の中ではかなり幸福なものだ。国家から戻ってきた穀物を毎年食べていた当時の北大荒では、大米の粥は得難いものだった。南方人の「米への思い」は、トウモロコシのまんじゅうやアワ飯の間で徐々に淡くなり、抑圧されていった。やるせなさの中でだんだんわかってきたのだが、... 続きをみる

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  • 粥と人生(一)、張抗抗

     粥は中国では、長江や黄河のように、源が遠く流れが長い。  しかし私は浅学非才なので、粥の歴史を考証することなどできない。幼年時代から今まで粥を食べてきた経験から、その悠久の流れと尽きせぬ魅力を感じているだけだ。多くの中国人にとって、粥は生命の源であり、そこから気力と知恵を得て、様々な習慣を形成し... 続きをみる

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  • 温州人の生食(続)、林斤瀾

     港蟹生のほかに、「白鳣生」というのもある。この「鳣」という字はあまり使われない。私の当て字だ。魚店では「魚生」と書いている。  「白鳣生」は、生の魚肉に糸状に切った大根を加えて塩漬けにしたものを、酒糟で漬けたものだ。赤くてとろりとしたスープと一緒だ。食べるときは、蒸したり鍋に入れたりせずに、酢を... 続きをみる

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  • 温州人の生食、林斤瀾

     温州には生で食べるものがかなり多い。多少の調理はしていても、火を通さないし、熱も加えない。こういう食べ方だったら、「生」という字を後ろに置く必要がある。豆腐生、港蟹生、白鱣生のように。  温州人で、たまに「生」を食べない人がいると、他人に「温州人なのにもったいない」と言われる。温州人は故郷を遠く... 続きをみる

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  • エンドウマメ、汪曾祺

     北市口の炒め物を売っている露店と私の小説「異秉」の王二の露店では、炒めたエンドウマメと油で揚げたエンドウマメを売っている。小さな包み一つが二十文で、塩をふりかけている。食べながら家まで歩くのだが、家に着くころには食べ終わっている。    私の家からあまり離れていない越塘のそばの空き地に、軽食を売... 続きをみる

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  • インゲンマメとアズキ、汪曾祺

    インゲンマメ  昆明で数年間インゲンマメを食べていた。西南聯大の食堂にはいくつかのよく食べるメニューがあった。ブタの血の炒め物、ハクサイの炒め物、灰色のこんにゃく豆腐などだが、ほとんど毎日インゲンマメを煮ていた。府甬道の市場で塩で煮たインゲンマメを売っていたが、時々買って、腹の減った時に食べていた... 続きをみる

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  • フジマメ、汪曾祺

     私の故郷では、フジマメは北京の人の言う「幅広フジマメ」しかない。鄭板橋が「庭に春の雨が降って野菜を潤し、秋風が棚いっぱいのフジマメの花に吹く」と対聯に書いているが、この種のフジマメのことだろう。この対聯はなんとか食べていける程度の人の家のありさまを描いたもので、金持ちの家だったら庭に野菜やフジマ... 続きをみる

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  • 緑豆、汪曾祺

     緑豆は涼の性があるので、夏に緑豆スープや緑豆粥を食べると暑気を払うことができる。  緑豆の最大の用途ははるさめを作ることだ。はるさめは中国の特産だろう。ふつうはるさめはスープに入れて食べる。  外国ではガラス麺と呼ばれている。普通はるさめはスープに入れて食べる。華僑ははるさめをとても好む。故国を... 続きをみる

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  • 最高の飲み物、白湯(食憲鴻秘)

     朝起きたときに、まず白湯を一杯飲むのはとてもいい。夜眠っているときに「火」の気が人体の上部に溜まり、胸や腸がふさがってしまう。白湯を飲んで、その通りをよくすれば、爽やかで伸びやかな気分になる。塩や砂糖をわずかに入れてもいい。薬を服用する時も、先に白湯を一口か二口飲むといい。  人にとって、水は酸... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、トウチ(乾燥バージョン)

    ダイズ10リットルを一晩水に浸す。ウイキョウ、サンショウ、ケイヒ、シソの葉それぞれ百グラム、カンゾウ二十五グラム、シャジン五十グラム、塩五百グラム、醤油一碗を一緒に鍋に入れる。そこにダイズを入れ、十センチくらいの高さまで水を注ぐ。沸騰するまで加熱し、沸騰したら火を弱めて煮込む。湯が少なくなったら、... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、スモモと杏仁

    スモモの調理  じっくり蒸した後、天日干しにする。それを砂糖漬けにし、蜂蜜に浸す。あるいは塩漬けにした後、天日干しにしてもいい。いずれの方法でも、スモモは長持ちする。  スモモは丸くて美しい形で甘みがあり、伝統的に愛されてきた。温の性があり、肝臓によく、体液の分泌を促進する。が、AHAの含有量が多... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、モツ料理

    腎臓の炒め物  腎臓を切り分け、包丁で切れ目を入れる。それを薄味の料理用酒に少し浸してから、沸騰している湯をくぐらせ、取り出してから油で炒める。刻みネギ、サンショウの粉、ショウガの粉、醤油、料理用酒、酢少量を加え、炒める。さらに、ニラの芽、糸状に切ったタケノコ、キンサイを入れれば、とても美味しくな... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、夏にぴったり豚足の寒天煮こみ

     豚足をきれいに洗った後、じっくり煮て骨を除去し、細かく切る。それに溶かした寒天二杯と香料を加え、再度じっくり煮込む。それを小さな口の瓶に入れ、油紙でしっかりと包んで、井戸の中につるす。一晩経ったら、瓶を開けて豚足を取り出し、食べる。  こうすれば豚足とスープが凝固し、夏に食べると、おいしくて口当... 続きをみる

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  • 青島嶗山茶

    嶗山茶は青島の特産で、嶗山ミネラルウォーター、嶗山ツバキと並び称されている。  嶗山茶は宋の時代に丘処機という道士が江南から移植したと言われているが、文献史料はない。近代嶗山茶は1959年の「南茶北引」に始まる。嶗山は最初のいくつかの試験地の一つとなったが、最初は失敗した。その後技術者と農民の不断... 続きをみる

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